父の顕三の姿を見て自然と陶芸に道に入る。叔父が経営している(株)菱三陶園で陶工としてのキャリアを積み、顕三の独立後の1993年、(有)小川顕三陶房に加わる。
顕三と同じく信楽の土味の持つ自然な美しさを追求しているが、同時に「信楽焼らしくない信楽焼に挑戦する」ことで、新しい信楽焼の魅力の表現を追求している。おおらかだが、繊細なデザインで「いま」の空気を伝えているのが記一の作風である。
京都寺町のギャラリー直向で2006年から8年間個展を開催している。日本屈指の作家と職人の手で生み出されるが京焼の京都において、ギャラリーからの小川記一の評価は高く、年1度の個展にもかかわらず固定客を着実に増やしている。中には、一流カメラマンをはじめ、定期的に小川記一の作品を買い求めに来る感性が高い外国人のファンも存在する。